総論
最初に残念なことを述べるが、この文章を書いている2020年末の日本において、一旦、子供を連れ去られると取り返すことは、ほぼ不可能である。それは女性被害者であっても同様である。しかし、下記に紹介する方法で大切な子供との絆を何とかつなぎ止めることはできるかも知れない。熟読していただきたい。
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優秀で相性が合う弁護士を速やかに見つける
弁護士選びは非常に難しい。弁護士も得意分野はそれぞれあって何でもできる人はいない。もしそのように述べる弁護士がいれば、それは全てが中途半端だと思っていいだろう。家事専門(離婚・相続)の弁護士に依頼しよう。カルロス・ゴーンの弁護人で「無罪請負人」と呼ばれる弘中惇一郎氏は裁判に勝つためには3つの要素が必要だという。それは、事件の筋、裁判官との相性、弁護士の能力だという。その中でコントロール可能なのは最後の弁護士選びだけである。弁護士選びを面倒だと思わず頭や足を使うことが大事である。
監護者指定・子の引渡し・保全をかける
業界用語でこれらは「3点セット」と呼ばれる。簡単に言えば、子の面倒をみるのは自分で(監護者指定)、子供を返してくれ(子の引き渡し)、そしてそれを緊急で仮処分(保全)でやってくれという裁判所への訴えである。
実際にはこれで子供を取り返すのはレアであるし、保全なのに審判に数ヶ月もかかるという体たらくである。ちなみに戦っているうちに次第にわかってくると思うが、家庭裁判所は何の役にも立たない組織である。
それにもかかわらず、なぜ3点セットをぶちかますのであろうか?それには理由がある。家庭裁判所はどうしようもない組織であるものの、民法では建前上は「子の福祉」を最大限に考えるべきという立て付けになっている。そこで別居親に子を会わせようとしない同居親は、子の利益を考えていないという論理になる。親権者・監護者として不適格なのである。この点を裁判所に訴求し続けると、連れ去った側は不利になってくるため、戦略的判断から相手弁護士が面会させるようにと助言する。(相手弁護士が面会させるなと述べている場合は、極端な左翼思想を有している場合が多い。)
そこをうまく利用して、子供との再開を可能とするのである。また、そもそも連れ去った側は法的手段に訴えないと、ケツをまくったまま(開き直ったまま)なので、表に引きづり出さないと何も始まらないのである。
面会交流調停を立てる
配偶者との争いは苛烈だが、最重要イシューは子との絆を維持することである。断絶になることは何としても避けたいところだ。多くの場合、連れ去った配偶者はこちらから何もアクションをしなければ、先方から自発的に子を会わせることは通常しない。裁判所に間にはいってもらうことにより圧力をかけることは可能だ。
面会交流は「ただの話し合い」だから何の準備もせずに臨むと、こちらは悪くなくとも裁判所は平気で最悪の判決をだしてくる虞もある。例えば、「定期的に子供の写真を送るだけにしましょう。」とするものだ。これを間接交流という。(これが何の交流なのか意味が分からないが、裁判所はデリカシーに欠けたネーミングが好きだ。)
弁護士をつけないのは素手で戦うのと同じだ。裁判官からは舐められ、早く案件を片付けたいので、テキトー判決をかまされるリスクがあるのだ。弁護士は調停でもできるだけ付けるようにしよう。しかも、強く積極的に戦える弁護士を、だ。
財産分与・婚姻費用の要求に対抗するために準備をする
相手方の弁護士のタイプは2種類に分けられる。一つは非常に極端な左翼思想を持つ弁護士である。世界観としては、常に男は暴力的で、弱者である女性を救済する「正義」のために戦っていると信じている人間である。実際には男女双方とも問題があるケースが大半なのだが、この手の弁護士は自分自身の前提を疑うことはないので最悪なパターンである。
もう一つはこれが大半なのだがビジネスで子の連れ去りをやっている弁護士である。多くの場合、相手から奪い取った財産に比例して成功報酬が定められているため、金持ちが相手だと目の色を変えてやってくる。対抗策は必ず準備しておくべきだ。
調停や裁判での基本的な戦い方
そもそも極端なDVなど特別な事情がないなら、子供を誘拐している時点で相手は人格的にかなり問題がある。しかし、裁判では調停ではひたすらに子供の権利、子供の利益を主軸に主張するといいだろう。それを反対できる人間は誰もいないからである。
当事者団体に加入する
子を連れされると精神的・経済的にも非常に追い詰められた状態となり、酒や薬も溺れる当事者も多い。中には仕事がままならず失業する者や自殺する者もいる。子を誘拐されている苦しみは友人・知人・同僚に話しても理解されず、当事者にしか理解できない部分もあり、精神の安定性を保ち、相談相手や最新の情報を得るためにも当事者団体の加盟は原則的にはお勧めする。一人で戦うことは明らかに不利なのでやめたほうがいい。
弁護士も突き詰めればビジネスでやっているので、9割は信じたとしても完全には信用できない。その時は当事者仲間に情報や知恵、経験談をもらうことが重要になる。
ただし、仲間と傷の舐め合いや酒ばかりを飲んでいても生産的ではないので、距離感は各自調節するといいいだろう。当事者たちは心に大きな傷を抱えており、心理的には落ち込んでいる。助け合うことも大切だが、そればかりに時間をとられると日常の感覚を失うのでバランスが大事である。
注意したいのは当事者は心が病んでいるので、僅かな意見の違いでも喧嘩が発生しやすい。極端に頑固な人も多い。付き合いのコツだが、基本は説得や論破などせずその時はスルーして、暫くたてばまた何ごともなかったように接することである。
また、資金使徒の開示がしっかりしていないなど注意を要する団体も存在している様子なので、各自、情報をしっかり集め最新の注意でもって接触されたい。以下に筆者が知っている国内の主な当事者団体を紹介する。
注意すべきことは、どこの団体も微妙に主張が異なっているので、全てを丸呑みせずに、軽く下見をする感覚で各団体をまわってみることである。時には互いに批判をしていたりもする。その中で自分の直感を信じ、肌が合う団体に加入するとよい。もちろん掛け持ちは可能である。
一般社団法人 Children’s Rights Watch Japan
2021年に登記された新興の当事者団体である。理事は全員、英語話者であり、海外NGOとの連携やマーケティングを主軸としている。メジャーな当事者団体の中では、法人格を有しており、理事会によるマネジメントが徹底されている。プロボノも在籍している。共同親権界隈の市民団体は未成熟のものが多いが、初めてできた本格的なNGOである。前進団体はVincent Fichot の「子どもの権利のためにハンガー・ストライキ」支援、また、2021年11月に開催されたパトリシア・フロア駐日EU大使と柴山昌彦議員・海江田万里衆議院副議長の会談の企画・アレンジメントの実績がある。
一般社団法人 家族の絆|Family Bonding Association
主要メンバーは埼玉県に在住である。別居親のみなら同居親とも共同して、共同親権運動を行っている。CRWJとも連携して活動している。
https://www.facebook.com/familybondingassociation/
親子の面会交流を実現する全国ネットワーク (通称:親子ネット)
設立が2008年と歴史が長く、会員数は公称500名を超える国内最大の当事者団体である。代表の武田典久氏は共同親権を検討する法制審議会に委員として参加している。法人格はないが、NPO的な組織構成をしている。地方組織もあるが、基本的には関東の団体である。
桜の会
関西が根城の当事者団体である。積極的で直裁的な街宣活動を持ち味としている。非常に行動的な団体であり、組織としてもまとまっている。
子どもオンブズマン日本
中部を中心に活動している。今までに国際連合への働きかけなどを行なっている。
http://kokuren99children.blog.fc2.com/
中部共同親権法制化運動の会
中部を中心に活動している。
https://chubu-kyoudousinken.com/index.php?FrontPage
共同親権運動・国家賠償請求訴訟を進める会
国家賠償訴訟を中心に活動している団体である。実質的な代表者は親子ネットのファウンダーの一人でありライターである。活動歴は長年に及ぶ。前身団体はK-netだが解散し、後継団体が本団体と目される。